「自覚はないかもしれませんが、今回の功労者は貴女です、ラヴィ。よくぞ【秘匿されし聖女】の務めを果たしてくれました。……母と同じく」

「母って……お母様ですか?私の?」

「ええ、そうですよ。貴女の母、プリムラも実は貴女と同じく【秘匿されし聖女】でした」

「お母様が……!」

突如明かされた真実に、言葉を失った。

というか、母と自分が同じ立場であるという偶然に、ただ驚いただけだが。

しかし、亡きお母様も【秘匿されし聖女】……?!



「貴女の母・プリムラは【時戻り】の聖女でした。……27年前、二人が婚姻前の学生時代の話です。【邪気】に支配された隣国の間者が王宮内に巧妙に忍び込み、当時の王妃陛下を殺害するという。その時の【邪気】が原因で、たくさんの貴族が命を奪われるいう惨い事件があり、国が一時混乱するという歴史があったのです」

「えっ?そんな事件が?で、でも王太后様は生きて……?」

「ええ、生きてますし、歴史上、そんな事件は語り継がれてはいません。それはプリムラが時を戻したからです。殺害事件も巻き戻され、王妃陛下が殺害される前に間者を確保しました。貴方の父・セドリックや現ルビネスタ公爵とその夫人、当時は隣国の公爵令嬢で留学に来ていたサルビア嬢と奔走したのですよ?……プリムラは【秘匿されし聖女】として、王族を救ったのです」