言葉にすると、改めて実感する。
ローズマリー令嬢は現に、とんでもないことを仕出かしているということ。
事の大きさに、動揺している自分がいた。
(わからない……)
そして、他の人にもぶつけた疑問を改めて大聖女様にも問う。
「……ローズマリー令嬢の目的は何なんでしょうか。彼女はいったい、何をしようとしてるのですか?」
「それは……何でしょうね」
大聖女様は困ったように笑う。大聖女様もローズマリー令嬢の思惑をわかりかねる状態なのだ。
「父君であるトルコバス侯爵と手を組んで国家転覆を狙っているのか、はたまた王太子妃の座だったのか。ですが、複数の令息に【魅了】をかけるとなると、思惑が読めない。王太子妃になりたいのなら、王太子殿下のみを【魅了】すれば良いのにとは思いますが、味方を増やすためなのか?……加えて、人の目を気にせずに、神殿に対する痛烈な批判。実に短絡的で、国家転覆や王太子妃の座を狙うには慎重さに欠けているともいえます。……彼女が何を考えているのかは、わかりません」
「大聖女様……」
「もしかすると、案外単純極まりない理由なのかもしれません、が」



