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ーー御世界に、異世界の【邪悪なる気】が蔓延る時。

【秘匿されし聖女】が、牙を向ける。

聖女らの祈りも届かぬぐらい、邪悪なる気が世界を恐慌に陥れるその時。

秘匿されし聖女が、己の力を以って邪悪を滅ぼす。




……【浄化】の聖女よ。

汝の指が、身体が、聖力が、邪悪なる気を天に昇華させる。

御国に邪悪なる気が蔓延る今、その時。

汝の力を以て、邪悪を排除せよ。



【浄化】の聖女に、祝福を。

ーー邪に、牙を剥け。






「……【浄化】の聖女」



頭の中に残ったひとつの言葉を、ポツリと口にする。

同時に、ハッと我に返って目を開けた。

開けた視界、目の前には神託の水晶と泉がある。距離感といい、光に侵食される前と変わらない位置にいるようだ。



「神託を、確と受け取りましたか」

「大聖女様、えぇと……」



横には変わらず大聖女様が傍にいた。頭の中は、寝起きのようにボーッとしていて考えがまとまらず、しばらく言葉が出てこなかった。



「……私を、【浄化】の聖女と」

「ええ、そのようですね」

「……」