「いよっ、ラヴィ!ハピバ!」

「……はぴば?」

「ハッピーバースデー。誕生日おめでとうってこと!」

「へぇー」

平民の間では、誕生日のお祝いに「はぴば」と言うのだろうか。



朝、起きてからミモザさんが支度を手伝ってくれた。顔も自分で洗えるし、ドレスを着るわけじゃないから別に必要ないのだけど、「お誕生日ですから」と、薄く化粧をしてくれて、髪を綺麗に整えてもらった。

いつもの二つ縛りスタイルなのだが、耳上をちょっと編み込んでもらった。これだけでも特別感が出て嬉しくなってしまった。



王太子様やアゼリア様、マーガレット姐さまやランクルーザー様も昨日の夜のうちにお帰りになられた。

なので、ガーネット公爵夫妻との朝食を終えて食堂を出ると、ファビオに出会す。

からの、お祝いのお言葉だった。



「はぴば、ってなんか可愛いね。私もファビオの誕生日にそう言ってお祝いするね」

「うわははは!頼むわ!」

「ラヴィ様、護衛中にも関わらず、ガーネット公爵家のメイドに軟派に声をかけるこんなヤツにお祝いの言葉をかけてやる必要は全く無いですよ」

「わー!ミモザきつー!」