秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない


お姐さまだけではない。目の前にいる王太子様もアゼリア様も、ガーネット公爵も。

私のこの力の詳細をわかっているのだ。恐らく書庫にある文献や、知識から大方理解しているのだろう。



……わかっている。誰も名言しないのは、神殿のしきたり。

私自身が精霊王様からお告げを頂くまでは、誰も何も言えない。



「この聖力はこの先、皆さまのお力になれますか?」



目の前にいる方々に、今一度問う。

私の質問は、私のこの奇妙な力が正体不明の聖力だと恐れられていないか、ちょっと確認したかっただけだ。



すると、王太子様は優しい目でこちらを見ながら深く頷く。



「ラヴィのその力は、罪深き私を救い出してくれた。……もちろん、これからも我々の力になってくれることだろう」



王太子様の一言を皮切りに、周りの皆さんもしっかり頷いていた。

その反応を見て安心すると共に、新たに決意をする。

だとしたらやる事はもう、ひとつ。



「わかりました。……明日、神殿に行って神託を受けてきます」



明日、神殿に行き。

自分が何者かを、知る。