秘匿されし聖女が、邪に牙を剥ける時〜神殿を追放された聖女は、乙女ゲームの横行を許さない


ここに導かれたことには、意味があるはず。

きっと私は、王都に戻って神託を受けねばならなかったのだ。

自身を知る為に、向き合うために。



悔やむか励むか、どちらがいいか?

そんなの、前を向いて励み、進む方が良いに決まってる。



そして……私は、誕生日パーティも諦めていない。

この騒動が落ち着き、ここで自分のやるべき事を終えたら私は、公爵領に戻る。

図々しくアルフォード様にお願いして、誕生日パーティしてもらうんだ。

意識なく横たわるアルフォード様に、一方的に勝手に誓ったから。

必ず戻るから。公爵領で、あのラベンダー畑で待っていてほしいと。

……だから、絶対に戻る。

愛しい人と、大切な場所のもとへ。




改めて決意を確認し、拳に力が入った。




「……お姐さまは、私のこの奇妙な聖力が【魅了】を解いたとお考えですか」

「ラヴィ……」

「この聖力は何なのか、お姐さまはご存知ですか」

「それは……」

私の質問に、マーガレット姐さまは笑いながらも困った表情を見せる。

どうやらお姐さまは、私の持つこの聖力が何なのか……わかっているようだ。