「直後は頭痛が激しかったり、記憶が混乱したのだけれども、今は落ち着いている。大丈夫だ」

「そ、そうですか」

王太子様の一言を聞いて安心し、安堵の息をつく。後遺症が酷くないのなら良かった。

「……ただ、お身体より大変だったのは、周囲への弁明だよねぇ?関係者はじめ、ご両親である陛下夫妻に、婚約者に……」

ファビオが後ろでぷぷっと失笑している。

突然割り込んできて、王族への軽口に失笑という不敬にギョッとしたが、当の王太子様は「ファビオ、それは言うな……」と、がっくりしているあたり、そんなにお怒りではないのか。または、ファビオとは気の知れた仲である、とか?

「まあ、でも。醜聞まみれとなった殿下は、名誉挽回のためにただいま奔走中なのであーる!婚約者にスライディング土下座をし、許しを得て今は新婚ほやほや!……殿下、お友達の子息らにも教えてあげたかい?スライディング土下座」

「謝罪は一発成功するらしいが、膝を擦りむいたり、服が破けてダメになるからどうにかならないかと言われたぞ」

「そーれーは。膝に当て布しなさい」

「……あれはもういいですから!ファビオも殿下に余計なことを教えないで!」