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話の内容は、大体がルビネスタ公爵様から聞いたものと同じだった。

王太子様に掛けられた【魅了】を解いたのが、私だとアゼリア様は推測した。

それを密かに証明するために、ローズマリー令嬢の周りに侍っていた子息らを次々と私に面会させる。

その度に、【魅了】の解呪が著明に現れ、驚くほどに皆が正気に戻っていったことで、確信に変わった。

……私には禁術を解呪できる、稀少な力があるということを。

そして、アゼリア様は私が神託を受ける前の見習いということはもちろん把握しており、私のその『神託を受ける前に発現した、禁術を解呪できる強大な力』を、王太子様を通して内密に大聖女様に報告していたのだそうだ。

そして、神殿の毒殺騒ぎがあり、ここでどさくさ紛れに……王都を離れてしまったアルフォード様の【魅了】を解呪することを期待して、私をルビネスタ公爵領に送った。



「内緒にしていてごめんなさい、ラヴィ」

「いえ、むしろ都合が良かったです。私じゃ混乱して大聖女様にうまく説明できなかったかもしれないですし」

それに、私をルビネスタに送り込んだことで、アルフォード様のお役に立てたのなら。


「……そんなことより、王太子様のお身体は大丈夫なのですか?禁術の後遺症は……」

私はアゼリア様の隣に座る王太子様の顔をチラリと窺う。

禁術は解呪された後、後遺症がひどく残ると聞いた。

見た感じでは、王太子様は普通にお元気そうだが。