そんな日々もあり。
数日かけて走り続けた馬車は、ようやく王都に到着したのだった。
王都に到着した頃は、すっかり日も暮れた夜の時間だった。
窓から覗く、夜の市井の見慣れた景色を懐かしく感じながら、馬車は進む。
約二ヶ月の王都の街は何も変わってないなと思いながら、外の景色を眺めていた。
……だが、馬車はいったいどこに向かっているのか。
そのまんまファビオに訊くが、「とある貴族のお屋敷でござい」としか話してくれなかった。
貴族のお屋敷?どこの?……まあ、到着すればわかるだろうと敢えて聞き返さなかったが。
馬車が停止したその先を見て、私はまた驚いたのだった。
市井を通り過ぎて、貴族らのタウンハウスが連なる区画の中でも、一等大きなお屋敷の前に、馬車は停止したのだ。
白い外壁に紫の屋根。……見覚えのある豪華なお屋敷に、私は唖然としたのである。
ここは、ガーネット公爵家のタウンハウス。
王太子妃殿下、アゼリア様の御実家……!
「な、何でここに?!」
と、狼狽えているのは私一人だけである。



