馬車の中は薄暗く、すっかり日も落ちてしまった時間帯だとわかる。
しかし、私が感じた疑問はそこではない。
馬車の中に、誰もいない。ファビオもミモザさんも。
そして、外は騒がしかった。荒げた声、怒声と人の地を蹴る足音。その中には、鋭い金属のぶつかり合う音……。
まさか、と思って恐る恐ると窓の外をチラリと見る。
……そこは、戦場だった。
「チョロチョロしてんじゃねえよ!……このっ!」
「どけ!馬車だ!馬車をやれ!」
例えではない。本物の戦場……!
多少身なりが雑で汚れていて、武器を振り翳す男たち。……盗賊だ。
いつの間にか、この馬車は盗賊の襲撃に遭っていたのだ。
対峙するのは……私の旅の仲間。話にだけは聞いていた、暗部御一行様だったりする。
十数名はいると思われる、荒々しくて屈強な盗賊らを相手していた。
「馬車には絶対近付けさせませんよ!」
唯一女性のミモザさん、短剣を手に持ち、自分よりも一回りは大きいと思われる男たちに堂々と立ち向かっているではないか。



