だが、その熱の籠った視線は、私に移るなり氷のような冷たいものにガラリと変わる。

何の感情もない……いや、むしろ嫌悪を示す憎悪が込められていた。

私を邪魔者として認識したようで。



「……おまえ。そんなものは後にしろ。今、傍にローズがいるんだ」



低くなった声と憎々しげな物言いに、私の体はビクッと反応して怯む。

私にそう言い放って睨み付け、ローズマリー令嬢を抱き寄せていた。

一連の行動に愕然としながらも、私は唇を噛んで耐えた。

思い慕うアルフォード様からそんな冷ややかな反応が返ってくるなんて、傷つくし、泣きたくなるが……この状況は異変、いつもとは違うのだと自分に言い聞かせて堪える。

……また、違和感がある。

アルフォード様の今の発言、私をメイドとして認識してる……?

なんせ、メイド姿とはいえ、私を認識出来ないはずがない。だって、先程はあの広い夜会会場で、人の多い中、この格好でも私を見つけることが出来たのだから。

私を『ラヴィ』ではなく、『おまえ』と呼ぶアルフォード様。

やはり、これは明らかにおかしい事態なのだ。