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「メイドさん、どうしたの?何か用かしら?」



鈴を転がしたような高く可愛らしい声で、首をこてんと傾げながら、突然目の前に現れたメイド服姿の私に訊ねる。

あの時以来、間近で見るローズマリー令嬢。ピンクブロンドの髪を靡かせ、目も大きく愛らしい表情は、やはり誰もが目を奪われる美女だ。

そんな圧倒的な存在を目の前に、私は緊張を飲み込んでから口を開いた。



「……あの、アル……公子様に早急にお伺いしたいことがございまして」



今の私の身なりはメイド。それを最大限に活用して、主に要件があることを装ってアルフォード様を連れていこうと試みた。

咄嗟に思い付いたことなので、頭の中が落ち着かずにいるが。

ローズマリー令嬢は何の疑いもないようだった。



「あら、そうなの?……アル?メイドさんが貴方に用事があるんですって?」



そう言いながら、アルフォード様の顔を下から覗き込む。目が合うなり、二人は顔を近づけて互いに微笑み合っていた。

熱を孕んだ視線は……本当に、愛し合っている恋人のよう。