駆け出した直後に、ふと思ったが。その方向はもしや、休憩室の方ではなかろうか。

まずい、と私は思った。密室に入られてしまっては二人を探し出せなくなってしまう。

ウフフアハハ真っ最中の休憩室を、ひとつひとつお訪ねするわけにもいかない。そう思うと、ただ焦る。

早く、早く……!



と、気持ち逸ったその時。

フワッと風が横を通り過ぎた。



(……うっ!)



咄嗟に口を押さえてしまった。急に吐き気を催す。

目に見えないし、臭いなのか何なのかよくわからないが、禍々しい何かを感じてしまったのだ。

いったい何だったのか、確認するために顔を上げる。

すると……いた。

風が吹いてきた方角、廊下の突き当たりに探していた二人がいたのである。

そこは、一室(休憩室…)のドアの前だった。

腕を絡めて寄り添う二人。ちょうど、アルフォード様がドアノブに手を掛けるところだった。



「……待って!……お待ちください!」



中に入られまいと必死になり、走りながら大声で呼びかける。

私の声に気付いたのか、二人とも動きを止めて揃ってこっちを向いた。