「ほう。あのトルコ風呂令嬢には招待状を出していない。なのに、来ちゃった。……押しかけてきたってこと?」

「そういうことになりますね。招待客は厳選してます。それに、王室派のルビネスタ公爵が、まさかあの貴族派筆頭のトルコバス侯爵家の者を自分のプライベートな夜会に招待するわけがありません。ましてや全然仲良しでもないのに」

「政治的な話はようわからんな。……公子様がこっそり招待したとか?」

「いろいろな方向から考えても、それは絶対にあり得ません。それに、招待状もなくどうやってこの会場に入ってきたのか……」

ローズマリー令嬢は、この夜会に押しかけてまで、アルフォード様の元にやってきたということ?

なんて図々しい。と、思ったのが第一印象なのだが。

……アルフォード様だって、満更でもない様子だ。

『約束するよ、ローズ。俺の愛しい女神、愛してる』だなんて。ベタ惚れもいいところだ。何なんだ、その恋愛小説顔負けのコテコテのセリフ。

激情を全面に見せるそのセリフなんて、普段冷静で物腰の柔らかいアルフォード様らしくない。

愛情は人の性格まで変えるのか。