次々と現れる男女の逢瀬を目にしては、悲鳴をあげていたが。
……だが、そこで。信じられない、ショックな光景を目にするのは、間もなく。
キャーだのワーだの騒いでる場合ではなかったのだった。
「……おや?」
ファビオはグッと目を凝らしている。
今丁度、現れた男女を凝視しているようだ。
それは……私も、ここ一番で驚かされる二人。先程、夜会会場を騒がせた二人の登場だった。
(アルフォード様と、ローズマリー令嬢……!)
あの二人、まだ一緒に……!
「おやぁー?公子様じゃん!すげー美人のねーちゃん連れてる?わぁー、公子様、スキャンダルスキャンダル!」
「あら?公子様?……隣にいる令嬢はどなたでしょうか。見覚えがありませんね」
ミモザさんも眉間にグッとシワを寄せる。手に持っている羽ペンがミシッと音を立てた。
私の胸も同様にミシッと音を立てたような気がした。
腕を絡めて、体を寄せ合ってバルコニーにやってくる二人を目にして。
……口づけなんて、交わして。
更に見つめ合って笑い合う二人の姿は、私の胸をますます軋ませ、痛ませていた。



