ワラビ草のアク抜きは、とても自信がある。

神殿でも私が一番上手で、ワラビ草が手に入るといつも進んでやっていた。

王都にいた時は、市井の奥様方にもお裾分けして感謝されたこともあった。「こんなに苦味が抜けるなんて、どうやったら出来るの?コツは何?教えて!」と、絶賛されるのだが、当の本人はただ普通に手本通りのアク抜きをしただけなので、どう説明するべきか困ったという思い出がある。

……いや、昔のことは置いといて。

「奥様軍団が味付けした和物、食う?」

「……」

食べる、と口を開けようとした途端。

宿舎の入り口の方から、ガラガラガラガラと音がした。

「え?何の音?」と、室内にいる庭師さんや奥様らが辺りをキョロキョロと見回したその時。

広間のドアがバーン!と開いた。

そこには、食事を乗せたワゴンを押した、いつもお世話になっている侍女の姿があった。

「み、ミモザさん?!何でここに?」

「ラヴィ様、やはりここにいらっしゃいましたか。夕餉の時間でございます」

そう言って、ワゴンを押しながら、ガタンガタンと音をけたたましく鳴らして堂々と部屋の中に入ってくる。

「おいおいおいおい!」と、庭師さんらのツッコミが入った。