「んで、ラヴィちゃんや。何故にメイドの格好?何のフェス?コスプレフェス?」

「え?ふぇふ?」

「フェフじゃねえよ、フェス。なんでそこだけ舌足らず?」

「……」

こすぷれ?ふぇす?って何だろう。よくわからない。

それは良いとして、何故にメイドの格好の理由は……ちょっと恥ずかしくて言えない。まさか夜会のご馳走を拝借するためにこの格好で会場に忍び込んだなど……。

と、答える気力がなく。私はローズマリー令嬢出現の衝撃で、さっきから口数少なく部屋の窓際に座り込むのみで。

ファビオも様子がおかしいと思ってるだろう。

「やれやれ。ラヴィ、何があった。おまえさんのその様子、ただカードゲーム大会に参加しに来ただけじゃないだろ」

「……うん」

事情を話したいのだけど。ローズマリー令嬢のことを話すには長くなる。

どこから説明をすべきか、考えていると……私のお腹がぐーっと鳴った。

「あっ」

そういや、ご馳走拝借に行ったのに、結局有り付けておらず、空腹だ。

私のお腹の音を聞いて、ファビオもブッと吹き出す。

「えー?腹減りなの?……ごっつぉーはほとんど食っちまったよ。もう、おまえさんがアク抜きしたワラビ草の和え物しかないぞ?ワラビ草のアク抜き難しいんだってなー?こんなに上手くアク抜き出来て、美味しく食べられることないって、奥様軍団感心してるぞ?」