ともかく、このやりとりでローズマリー令嬢から『敵意』を感じ取ってしまった私たち。
だが、相手は侯爵令嬢。反論することは何も許されず、身分が下の私たちはただ俯くしか出来ない。
しかしそこで、そんな私たちを庇い、ローズマリー令嬢を諌めたのは、私たちと共に傍にいてくれたアゼリア様とそのご学友の令嬢たちだった。
『トルコバス侯爵令嬢?先程の発言は、目に余るものがございますよ?神殿はお祈りばかり?……貴女、神殿の聖女様方の祈りでこの国に恵みと安寧が齎されているのかを存じないというのですか?』
『それに、聖女様らは祈るだけではありません。自身の持つ聖力で民を癒し、慈善活動で国中を駆け回り、国を護っておられるのですよ!それを祈るばかりで教養がないという言い方は如何なものですか!』
『えっ、教養がないなんて、私そんなつもりじゃ……ただ、気を遣わないでと言いたくて』
『ならば、言葉にはお気を付け下さいませ!貴族には責任というものがあるのですよ!行動にも言動にも!』
ご学友の令嬢ら二人に強めの口調で咎められたローズマリー令嬢は、声も体も震わせ一歩後ろに下がる。
涙で目をうるうるとさせていた。



