「あ、の。もしかして大津さん……美咲さんのこと、、。」

 目を見開いた大津さんが顔を歪めて否定する。

「馬鹿なこと言わないでください。
 人の心配をするより、ご自分の心配をされたらどうでしょうか。
 彼女は高宮課長への未練を断ち切る為に最後だからと僕へ泣きついて来た。
 完全なる公私混同です。」

「未練を…断ち切る、、。」

 溜息を吐く大津さんが思わぬことを教えてくれた。

「まぁ、これほど見せつけられたら諦めざるを得ないでしょうね。
 会食に呼べばあなたを連れてくる。」

「それは、、私は高宮の部下ですので。」

「そのような関係でも恋人だと隠すつもりもない。」

「それは………。」

 大津さんは2人に再び視線を移して、私も知らなかったことを口にした。

「僕でさえ彼女が高宮課長と付き合っていた事実も知らなければ婚約までしていたことも知らされていなかった。
 けれど、あなたへの気持ちは隠そうとしていない。」

「……え?」

 驚いて声を失うと彼はやれやれという感じで続けた。