「いや、ごめん。その、怒りに任せて。
 怖がらないで……。」

 切なそうな顔をする俊哉さんに胸が苦しくなって、首を振る。

「そ、そうじゃないです。
 その、突然でビックリしたんですけど……。」

 頬を両手で包まれて持ち上げられるとキスをされた。

「ちょ、あの、外、、です。」

「ハハッごめん。藤花、顔が真っ赤だ。」

「もう!俊哉さんの馬鹿!!」

 私のへなちょこパンチを受ける俊哉さんは笑っていて、なんだか嬉しそうだから嫌になる。

 しばらく笑っていた俊哉さんが目を伏せて真剣な眼差しを向けた。

「続きしたいけど、もう1つ厄介なこと片付けるの手伝って。」

 忘れていたかった『会食』
 でも、私もきっと乗り込んで行きたいくらい気になるに決まってる。

 私は彼の隣に駆け寄って手を絡ませた。

「着くまで、手、握っててくれますか?」

 フッと優しく息を吐いた俊哉さんが繋いだ手を持ち上げてキスを落とした。

「あぁ。こちらからもお願いしたいくらいだ。」

 微笑んで見つめ合って、それから歩き出した。