小塚さんの視線の先を見上げるとそこには恐ろしい顔をした高宮課長がいた。

 後退りすると小塚さんも戻ってきて、私は高宮課長と向かい合うことになった。

 どうして、、ここに。

 そこへ来て、小塚さんが余計なことを口走る。

「勘弁してくださいよ。
 俺、内田ちゃんみたいに危なっかしい子のお守り出来ないっすよ。
 内田ちゃんが変な相談するから、上坂が恋人に妬かせる為に俺と寝ようか、みたいなこと言ってましたよ。」

「ちょ、小塚さん!!言い方!!」

 告げ口をされて上坂くんは慌てふためいている。

 久しぶりに見る人をも殺めそうな視線に「ひっ」と小さな悲鳴を上げると、高宮課長が近づいて来て、、。

「!」

 すぐ近くで「キャー!」と沙羅さんの小さな歓喜の声が聞こえて、後は絶句してる上坂くんの視線が刺さる。

 突然の出来事に目を見開いたまま、心構えのない深いキスに驚きと色んな感情が入り混じって、彼の胸をたたく。

 それでもより一層深くなるキスに抗えなくなって抵抗する気力も無くなって彼にしがみついた。

「上坂。こいつ俺のだから。
 手を出したら殺す。」

「じょ、冗談じゃないっすか。」

 両手を振り、愛想笑いを浮かべる上坂くんを冷たい眼差しで睨むから上坂くんは凍りついてしまった。

「行こう。藤花。」

 上坂くんはプロジェクトのメンバーじゃないのに……もう隠すつもりは毛頭ないらしい高宮課長は藤花と呼んで腕を引く。

 そして出て行こうというところで振り返って言った。

「悪かった。小塚。
 これで飲み直してくれ。」

 数枚のお札を小塚さんに渡して今度こそお店を出た。