「だって、一度は結婚ってことになったから、ご存知なんじゃないですか?
お二人のこと。」
「いや、誰も知らないよ。
本当に知らなかったかどうかは、怪しいが、な。
見合い話を断る時に、どうしてか前の結婚しようとしてた時の話と内田という名が出たから。」
「それって………。
「前の結婚の時より内田さんへの方がご執心じゃないかい?」って質問ですか?」
「あぁ、まぁ、俺のこと聞かれたのならそのくらい話してそうだよな。」
んっとに食えない。あのジジイ……。
「それで……実際はなんて言ったのか、聞いてもいいですか?」
「今じゃなきゃダメ?」
「今がいいです。」
「………前回の結婚の時はご迷惑をおかけしました。」
「それで?」
期待の眼差しを向ける藤花が可愛いんだけど、憎らしくて鼻をつまむ。
「んー!ひどい!!」
「それはまた今度。」
笑って誤魔化して、うどんへ向き直る。
「うどん、冷めちゃうな。
早く食べよう。」
「もう。俊哉さん。ひどい。」

