何か飲み物をと、下に降りて冷蔵庫を開けて私は膝から崩れ落ちた。
 冷蔵庫には私が無下にした食事がしまわれていた。

 2人分の食事は彼も食べなかったことを意味していた。
 ずっとあの場で私が出てくるのを待っていた彼。

 彼は私が作った食事を残すことや、食べないことはなかったのに。
 私は作ることの大変さや食べてもらうことの喜びも知っているのに。

 私は知らぬ間に目からポロポロと涙をこぼしていた。

 彼は必ず私が作った料理を残さず食べてくれた。
 いつ帰ったか分からないような時でも必ず食べて食器も洗ってあった。

 だからこそ作らなきゃいけないプレッシャーのようなものを感じていたのも事実だけど。
 食べてくれていることに嬉しさも感じていた。

 だから、こそなんだと思う。

 彼とのすれ違い生活で私のすることが喜ばれているのか分からないまま過ごす寂しい気持ちを感じていたのは。

 ただ一言、美味しいねって一緒に食事をとれたら。
 いつも家のことありがとうって一言、言ってくれたら。

 そんな時間も持てないすれ違い生活は終わるはずだったのに……。