「さっきから私、信用されていないですか?
 誰彼構わずホテルについていったりしません。」

「あぁ、そうかよ。」

「真剣に聞いてます?」

「あぁ。馬鹿だって罵られても俺は藤花が心配なんだよ。
 温室育ちでスレてない……。」

「世間知らずって言いたいんですよね?」

「まぁ、そうとも言うかな。」

 ひどいことを言ってるくせに私を抱き寄せる腕は優しい。

「心配だから、早く俺のだって公言したいんだよ。」

 俺のって………。
 俺様発言にあろうことかときめいてしまう。

「藤花の許可を待ってたらいつまでも無理な気がして、勝手に根回しさせてもらった。」

「根回し?」

「あぁ。プロジェクトチームのみんなは俺らのこと知ってて応援してくれるって。」

 寝耳に水の事態にまた私は懲りずに起き上がって抗議しようとして「ひゃぁ!」とベッドに逆戻りした。

「ククッ。学習能力低いなぁ。
 まぁ、そこが可愛いところでもあるんだけど。」