「もう、しないんですか?」

「だから、お前……。」

 私は俊哉さんの手を取って、それを自分の胸に押し当てた。
 息を飲んだのが分かって、私も自分の思い切った行動に心臓は壊れそうなほど加速する。

「……しよ?」

 上目遣いでそう言うとガバッと抱き締められた。

「阿保。女の子がそういうこと言うなって前に言ったろ?」

「だって……。」

「初めてなんだから。
 真っ直ぐ俺だけのことを考えて他のことが入り込む余地がないくらいに俺だけを想って抱かれて欲しい。」

「俊哉さん………。」

「今は、不安だから体さえ繋がればどうにかなるかなって邪心が見え隠れしてる。」

「それは………。」

 そんなことまでお見通しなんて……。

「藤花。大切にしたいんだ。
 だから、もっと俺のこと好きになれよ。」

 これ以上ないくらい好きだよ。
 それは声に出せないまま。

 彼の胸に顔をうずめた。