ドキドキしているとテーブルに置かれた彼の携帯がブーブーッと騒がしい。
 今日、本来なら平日で仕事がある。

 プロジェクトリーダーの彼が1日休むなんて無謀な話だったんじゃないかな。
 大丈夫かな、電話に出ないで。

 心配をしていると思ったよりも早くお風呂から上がった彼にドキンッと胸が飛び跳ねた。

 私がベッドルームに入る前に彼は出てきてしまった。
 さっき、行ったばかりじゃないっけ?

「は、早かったですね。」

「ハハッ。かっこつかないけど。
 俺、余裕ないみたいだ。」

 切なそうな顔を向ける彼はバスローブ1枚で胸元がはだけている。

 急いで来たことを伺わせるだけじゃなく、色気もだだ漏れで必然的に私は顔を背けて熱い顔に手を当てた。

「藤花。こっち向いて。」

「だって……。」

 テーブルの上で携帯が再びブーブーッと音を立てていて、彼は舌打ちをした。

「ったく。誰だよ。
 今日は何があっても連絡するなって言っておいたのに。」

 ブツブツ文句を言った彼が携帯を手に取って動きが止まったことが分かった。