仕事が出来る高宮課長は社内の色々な人と話す機会も多くて、それこそ私から見ても憧れるような素敵な女性と話していることもよく見かけている。

 それはもちろん仕事の話なのだけど、長身の高宮課長と並んでも引けをとらない美人で大人っぽい女性と話しているとどうしても惨めな気持ちになってしまう。

 何より、恋人のはずなのに、私へは冷たい対応なのが余計に寂しさと虚しさを募らせた。

「夢を見過ぎてたのかなぁ。」

「何に?」

「うん……。社内恋愛。
 もっとさ。隠してるって言っても。
 視線が絡みあって、アイコンタクトとか。
 資料を渡す時にバレないメモで、とか。」

「まぁ、そういうイメージはあるけど。」

「それなのに高宮課長と目が合えば睨まれて叱られるし、仕事の資料はダメ出ししか書かれてないし。
 そういえば高宮課長の字って走り書きでもすごく綺麗だなぁって片思いみたいに思うだけで。
 見惚れる字の内容は『イチから書類の書き方を勉強し直せ』だよ?」