「さぁ。食事をしようか。
 個室だけど、さすがにお店の人にこれ以上、待ってもらうのも悪いからね。」

 言われて顔が熱くなる。
 すっかり忘れていたけど外だった。

 気づいてないだけかもしれないけれどお店の人が来た様子はなかったから、彼が気を利かせて控えてもらったのかもしれない。

 呼び鈴を鳴らした彼が、入ってきたお店の人に食事を運ぶようお願いしている。

 私はと言えば4人掛けの席なのに俊哉さんの隣に座り、抱き竦められたまま。

 お店の人が下がったところを見計らって謝った。

「ごめんなさい。
 本当にマナーも何もなっていなくて。」

「何が?」

「だって隣に座るなんて、なんていうか……。」

「それは俺も望んでるからいいの。」

「へ?」

 私の肩を抱いたまま、もう片方の手で頬杖をついた俊哉さんは微笑んでいる。