数年後、走り回る直哉を俊哉さんが追いかけている。
 私は大きなお腹を抱えてベンチに腰をかけた。

 4歳のやんちゃざかりのお兄ちゃんを持つ、妹なのか、弟なのか……。

 今のところは女の子らしいのだけど「女の子は逆転ホームランで実は男の子でしたがあるから気をつけてね」と周りのママから教えてもらった。

 どちらでも嬉しい。
 男の子ならもっと賑やかになって、きっと私が高宮家のお姫様になるんだろうな。

 お姫様なんて恐れ多いのに、そんな風に対応されて、つい応えちゃうのよね。

「ママ姫〜。抱っこ。」

「あらあら。疲れちゃった?」

 今はお姫様扱いは名前だけかな?
 まだまだ甘えん坊な直哉に微笑んで両手を広げる。