目を開けるとテーブルの上に紙が一枚。
 それは婚姻届。

 証人の欄にはお互いの父の名前が書かれている。

 見覚えのない寝具。
 明らかに高級そうな調度品。

 それらを目にして俊哉さんを探す。

 バスルームから物音が聞こえ扉を開けた。
 バスローブを羽織って腰の辺りで紐を縛ろうかというところの俊哉さんと目があった。

「藤花……。
 大人しく待っていられない?」

 微笑む俊哉さんには敵わない。

「だって目が覚めたら俊哉さんがいなくて。」

 歩み寄って俊哉さんの体に腕を回す。

 ボディソープの匂いがほのかにして胸がドキドキする。

「藤花もお風呂入っておいで。」

 耳をくすぐる甘い声に頷いて俊哉さんが去った後、騒がしい心臓を抱えながらシャワーを浴びた。