元カレの、一ノ瀬くんは…私の愛が重いと。

一ノ瀬くんから、告白してきたくせに…一方的に、そう言ってフラれて。

でも、諦めの悪い私は…今日も放課後に、こうやってこっそり…。

一ノ瀬くんは、サッカー部のエースだから。

そうしたら、それに気が付いた他の女子達に…



『別れたくせに何で来てんの?』

『ウッザ!』

『嫌われてんだからさっさと諦めろよ』



なんて、口々にそう言われて。

思わずうつ向いたその瞬間。

その女子達のうちの誰かに、肩を押されて…力なく、派手に転んだ。と言うわけだ。

だけど、その時に偶然近くを通りかかった矢島くんがそれに気が付いて、手を差し伸べてくれて…



「あのっ…いいの?」

「え、何が?」

「部活。途中だったんじゃないの?」

「…あー……ま、いんじゃん?」



元々ダルかったし。

彼はそう言うと、私の心配をよそにニッコリと微笑んで。

生徒玄関から再び校内へと入っていく。


一ノ瀬くんは、凄くイケメンで…モテるタイプだったけれど。

この矢島くんは、本当にそういうわけでもなく。

いや、だからといってブサイクではないんだけど。

とにかく一ノ瀬くんが、女子達に人気…すぎたから。


矢島くんって。

こんなに笑顔が可愛い、なんて。

今までちっとも知らなかった。