白崎さんの溺愛

だけど、そんな私に気が付いたのか、矢島くんは再び私に目を向けて…

何も言わなくなる私に、やがて口を開いて言う。



「……何してんの」

「…?」

「一緒に帰るんだろ?早く、」

「!」



そう言って、何だかんだでやっぱり一緒に帰ろうとしてくれるから。

単純に、嬉しさが込み上げてきて…だけど。

私はそんな矢島くんに言う。



「…いいよ、今日は友達と帰っても」

「え、じゃあ白崎どうすんの」

「今日は我慢する」

「…」



そう言うと、「また明日ね」と笑えていない笑顔で手を振って。

友達と帰りたいらしい矢島くんに手を振ったら、その時矢島くんが言った。



「や、それはダメじゃん」

「え、」

「何時間も待たせておいて、さすがにマジで一人で帰れとは言わないよ、俺」

「!」



そう言って、「いいから今日はもう帰ろ」と。

私に向かって手を差し伸べてくれる矢島くん。

手、握っていいのかな。…いいんだ。

私は彼の優しさを再確認すると、やっぱり嬉しくなってその手に手を重ねた。


こういうところが、好き。

一見不真面目なのに、こういうところ、真面目に考えてくれるところが、大好き。