白崎さんの溺愛


…………



「矢島くんっ」

「!」



空が暗くなってきた頃。

ようやく部活が終わって、待っていた生徒玄関。

そこに、部活帰りの矢島くんが友達と一緒に現れた。

私が矢島くんに声をかけると、矢島くんの友達が冷やかすように彼に言う。



「ほら矢島、彼女来てんぞ」

「彼女じゃねぇし」

「幸せだねー、嫁がいる奴は」

「嫁でもねぇし。っつか先に帰ってろよお前は」



そして友達の冷やかしの直後に矢島くんは私にそう言うと、靴を通学用に履き替える。

だけどこんなことを言われるのはもういつものことだ。

こんなことでいちいち凹んだりはしない。



「せっかくだから一緒に帰ろうと思って」

「せっかくだからって、いつも一緒に帰ってるだろ」

「やだ毎日一緒に帰りたい」

「たまには友達と帰らせて?っつか重いんだけどいい加減」

「!」



矢島くんはそう言うと。

ため息交じりで私から目を逸らす。

その何気ない言葉に、私は…思わず一ノ瀬くんにフラれた時のことを思い出して…



『お前、重い』


「…、」



思わず、一瞬、言葉を失った。