白崎さんの溺愛


「…無理なのかなぁ」

「…」



席について、しばらくした頃。

「おはよう」と声をかけてきた友達に、思わずそう声を漏らす私。

その視線の先には、友達と雑談を再開したらしい矢島くんの姿。

ほんと、楽しそうに笑ってる…。

そんな私の弱気な言葉に、友達の咲良(さくら)が言った。



「どした?また今日もダメ?」

「うん。今度の日曜にカフェ誘ったけど…冷たかった」

「…、」



咲良は、小学校からの付き合いで、所謂幼なじみ。

一ノ瀬くんにフラれた時も、矢島くんに惚れた時も、私の話をじっくり聞いてくれた唯一の同性の友達。

咲良は私の言葉を聞くと、言った。



「…まぁ、こんなことを言うのは何だけどさ」

「…何?」

「矢島くんより良い人、いっぱいいるよ?」



そう言って、他の人に目を向けてみたら?と。

他の恋を勧めてくる咲良。

その言葉に、「ええー」とうなだれる私。



「だって、矢島くんってそんなイケメンじゃないじゃん」

「咲良わかってないなぁ。矢島くんの良いところは見た目じゃないんだよ。まぁわかってもらっても困るけど」

「でもでも、よく考えてみて。確かにブサイクではないよ。ないけど、授業中は8割寝てて先生に怒られてるし、勉強苦手でテストは毎回追試受けてるし、サッカー部じゃ足引っ張ってばっかじゃん矢島くんは」

「うーん…でも、」

「私から見ると、天と地の差よ。乃愛と矢島くんって。未だにビックリしてるよ」