「っ…大丈夫!?」
「え、」
気が付いたら、放課後のグランドで誰かに押されていて。
派手に転んでしまったその瞬間。
膝の痛みに顔を歪ませると、その時上からそんな声が降って来た。
「…矢島くん」
「立てる?」
「ん…平気」
彼の名前は、矢島竜くん。
同じクラスで、普段は明るくて友達も多い現役サッカー部員。
だけど特別モテるわけでもなく、イケメン!っていうほどでもない…普通のクラスメイトだった。
この日、までは。
「保健室行く?」
「うん。でも、独りで平気だから」
「…や、一緒に行くよ。すげー痛そうだし、それ」
彼は、今までまともに会話すらしたことがない私にそう言うと。
本当に心配そうにしながら、あたしを連れてグランドを後にしていく。
何で、私が今日、ここに来ていたのかと言うと。
他の人の、応援。
もう別れてしまった、彼の。