程無くして運ばれてきた、塔のケーキと淡い琥珀色の紅茶二つ。ケーキは半分こにしようと、ひとつだけ頼んだ。


神月くんがケーキを取り分けてくれる。優雅な仕草で紅茶を飲む姿は、育ちの良さをうかがわせる。


そしてゆっくりと口を開く。


「ーー塔が気になるみたいだね。あとオレのことが、かな」


当たってる。見透されている。


「ここは不思議の町。だから。オレの存在だって、全然不思議じゃない」

「不思議の町……」




今一つ納得はできないが、何故か信じてしまいそうな、そんな力がある。でもと、神月くんが続ける。