クリスタルの目の前に座り、俺はゆっくりと目玉焼きを口に入れる。

「……おいしい」

「ほんと?ありがとう」

嬉しそうにクリスタルは笑う。俺も幸せに満ちていく。

好きな人が作ってくれたご飯は、特別においしかった。



朝ご飯を食べ、片付けをした後、俺たちは街へデートに出かけた。

誰もがクリスタルを見て、「王女様だ!」と驚きの目を向ける。クリスタルのことはドリス国でも話題になっているからだ。

「こんにちは!ドリス国に住むことになったんです!よろしくね〜」

クリスタルはニコニコと笑いながら、人々に手を振る。それに少しモヤモヤする俺がいた。

どうやら、俺は独占欲が強いらしい。クリスタルの笑顔が他人に向けられると、モヤモヤしてしまう。クリスタルと両想いになった日から、このような気持ちはすぐに受け入れられるようになっていた。

「クリスタル!」

俺はクリスタルの柔らかな手を握り、指を絡ませる。それだけで顔をクリスタルは赤くした。

「はぐれるといけないからな」

「…う、うん!」

家では普通に抱きしめたりしているのに、外では恥ずかしがるクリスタルがかわいい。