食前酒に始まり、前菜もメインもスープも、それから
デザートも美味しかった

ラストのコーヒーを飲んでひと息つく

「すげーうまかった。ごちそうさま」
「良かった。じゃあ、またよろしくね」
「またかよー。いい加減ちゃんとした付き合いしろって」
「そんなこと言ったって。私だってちゃんと考えてるよ」

どうだかねーと私の顔をマジマジと見てため息を吐いた

何故かふと無愛想男を思い出した

“俺が相手してやるよ”

あれはどんな意味が隠れてるんだろう

その真意を確かめずに帰ったから分からないままだ

「栞?聞いてんの?」

「あ、ごめん、何?」