いつか君と見た景色

恋華の病院へ付き添う為にありったけの金を持ってタクシーへ乗り込む。
くそ両親が振り込んでおいたらしく、いつでも使えるようになっていた。
「ねぇ·····なんで助けてくれたの?」
と恋華が言う。
「困ってる人がいたら助けるの当たり前だろ?恋華も、困ってる人がいたら助けるだろ?」
俺は何も出来ないから。だからこれくらいは出来ないと男として失格になっちゃう。もし、兄さんが恋華を見つけても、俺と同じいやそれ以上に優しくしてあげたりしてたかもしれない。
「うん·····でも、こんな何もないし何も出来ないし迷惑かけるだけな私を助けてくれてありがとう。」
「おう、思い出すといいな」
恋華の手に俺の手を乗せる。恋華の手は震えていた。
「あの·····あのね。」
「どうしたんだ?」
「私本当は記憶·····あるの·····。」

·····え?
「でも、嫌で、認めたくなくて。逃げてきちゃったの。そしたらころんじゃって·····あは」
無理やりの笑顔を作る恋華。
「そう·····だったんだな。話してごらん、スッキリするよ。きっと」
恋華は一瞬目を見開いて涙を流した。そして置いていた手に力を込めてきた。
「私、今中学3年生でね、去年の冬に病気が発覚したの。私の両親はとっても驚いていたし、泣いていた。その時ね、彼氏がいたんだけど、病気の彼女とか重すぎ。結婚とかするつもりねーし·····って振られるし、お母さんとお父さんにも迷惑かけちゃうし。。もう逃げ出したかったの。。。病気のせいで何もかも失って悔しくてそれでも、死にたいって思っても怖くて怖くて仕方なくて·····もうっ·····どうしたら·····いいのかっわかんっなくって」
·····病気だったのか·····。
俺はその話を聞いて案外受け止めることが出来た。それ以上に、恋華の命を諦めたくないって思った。
「これから、どうしたい?」
「お母さんとっお父さんに·····会いたい。」
「じゃあ戻ろうか。家わかるでしょう?」

そのまま恋華の言う恋華の家へと向かった。

今日初めて会ったのに、何だか守ってやりたいって気持ちになった。

どんな事があっても。守ってやりたいって。

俺は隣に座る恋華を抱きしめた。
「うっ·····ううっ。。。」
「ねぇ、恋華?俺さ、恋華の話を聞いて、守ってやりたい、助けてあげたい、恋華の命諦めたくないって思った。だからさ、怖くても検査を受けて欲しい。ケータイ、番号渡しとくから、かけたい時にかけて?」
「うん·····ありがとう·····。葵威が居てくれて葵威と出会えて良かった。」
恋華は俺のケータイ番号を受け取り自分の家へ入っていった。