小さい頃、よくお母さんに読んでもらっていた絵本がある。

「お姫様は、夢の中の王子様に出逢いました。」

お姫様が夢の世界で王子様と恋するお話。

でも夢の中に存在する王子様と結婚なんてもちろん出来なくて、2人は離ればなれになる

そんなお話。

「いつか葉瑠にもステキな王子様が現れるといいね!」

この絵本を読み終わるといつも母はそう言っていた。

「うんっ!でも離ればなれになるのは嫌だなぁ…」

「大丈夫だよ、いつかきっと葉瑠を一生離さない王子様に出逢えるから。」

母はそう言うと、闇の中へ消えていく。

「お母さん…?どこ行くの!?ねぇ!行かないで!お母さん!」

すると私の視界もだんだんと黒くなり

「やだ!やだよ!助けて…!」

私は闇の中へ落ちた