ギュッ………



「離してください…。」




後ろから強く抱きしめられた身体は

吸い付くように部長の中に収まる。




「泣くほどおれが嫌なのか」



嫌だと言いたい、

あなたのことが嫌いだと。


なのに涙が邪魔して声も出ない。




ううん。それは言い訳。




部長のことが好きだから。


抱きしめてくれたことに


引き止めてくれたことに


嬉しくて涙が止まらないのかもしれない。





「来い」



強引に引かれた手。


いつまでも繋いでいたいと思う。




駐車場に着くと私を助手席に乗せて走らせる車



少し倒されてる助手席は

私好みではないが位置を変えるようなことはしない