「……そっか、なら良かった。
あいつらも悪気はなかったから許してやって?」
「も、もちろんだよ……!
私が勝手に怖がってただけだし」
逆にあの二人にも悪かったなと思いつつ、職員室へ足を進めようとしたら、突然青谷くんの足が止まる。
「青谷くん……?」
「んー、どうしようか」
「えっ?」
困ったような、どこか考え込む動作に入る青谷くん。
「実は、呼び出しとか真っ赤な嘘なんだよなそれが」
「嘘……?」
どういうこと?
呼び出しが嘘って、今職員室に向かってるのに?
驚きのあまり、呆然とすることしかできない。
「そう、嘘。だから職員室に行く必要ない」
「行く必要ない……って、えぇ!?」
青谷くんの言葉を復唱して、ようやく理解した私は思わず大きな声を上げてしまった。
慌てて自分の手で口元を押さえながら周りを見るけれど、一階の職員室近くのため、教室がなくて幸い人はいなかった。



