「その反応……怪しい」
「な、な、なんでもないよっ!?」
「……美羽、諦めなさい。
あんたは嘘がつけないタイプの人間でしょ?」
うっ……!
莉子ちゃんには全てお見通しのようだ。
だけどここで折れてしまえば、昨日の経緯から話さなければならなくなる。
ということは……青谷くんを好きだと誤解したことも、宏にキスされたことも全部、言わないといけないってことで……。
「……っ」
「美羽?なんで照れてるの?」
昨日のことを思い出して、顔が熱くなる私を由紀ちゃんが不思議そうに見つめてきた。
「その、本当になんでもなくて……」
どうしよう。
逃れられそうにない。
絶体絶命のピンチに立たされていた、その時。
「桜」
少し離れたところから、誰かの声が聞こえてきた。



