「スヤスヤと寝てる美羽、可愛かったな」
少し前まで不機嫌だったのに、今じゃあっという間に上機嫌なものに変わる宏。
「可愛すぎて我慢できなかった」
「我慢……?」
ドキドキと、鼓動が速くなる。
この続きを聞いてしまうのは、なんだかダメな気がしたのだけど……。
「寝てる美羽に何回もキスしたんだけど、美羽全く起きなかったね」
「……っ!?」
今、宏はすごい発言をした。
だって、寝ている私にキス……それに、何回もって。
顔が熱くなって、思わず宏から視線をそらすために俯いた。
「起きるまでやろうと思ったけど、起きる気配ゼロだったから結局俺が折れた」
「お、折れたとかじゃない……何してるの宏……変態だよそんなの」
「変態?目の前に寝てる美羽がいて、キスで済ませた俺を褒めて欲しいぐらいなのに」
「なっ……!もう、宏なんて嫌い」
「うーん、照れながら言われてもな」
説得力がない、と続けながらまた頬に触れてきた。
恥ずかしさでいっぱいになりながら、早く学校の最寄り駅に着いてほしいと願っていた。



