「……痛い」
「絶対痛くないよね？嘘をつくのは良くないよ、美羽」
「宏が優しくない」
「可愛いとか言って馬鹿にする美羽が悪い」
どうやら不服だったらしく、宏は少し不機嫌そうだ。
「馬鹿にしてないよ？」
「素で言われるとかもっと嫌」
急いで弁明しようとしたら、それも嫌だと言われてどうしようもなくなる。
「変な宏。
今までも可愛いって言ったことあるのに」
そうだ。
昔から甘えん坊な宏のことを可愛いって何回も言っているのに、こんな不機嫌になるところを見たことない。
「嫌だったけど隠してた」
「どうして？」
「……美羽が、怖がるから」
少しだけ間を置いてから口を開いた宏。
私が怖がるから？
何が言いたいのか、全くわからない。
