「そういう顔も、俺の前でしかしたらダメだよ」
頭を撫でていた宏の手が、今度は頬へと添えられる。
「そういう顔……?」
「男が放っておけない顔してる。今美羽は何を考えてるの?」
男の人が放っておけない顔?
一体私はどんな顔をしているのか。
「今は……どうしたらいいのかわからない」
「何に対して?」
「宏にドキドキしてる自分に対して」
私の言葉を聞いて、一瞬目を見張ったかと思えば嬉しそうに笑った宏。
「美羽っていきなり可愛いこと言う」
「か、可愛いことなんて何も……」
宏に可愛いと言われ、反応に困った。
そもそも可愛いことなんて何もしていない。
「その反応から全部可愛い。もう我慢できそうにない」
「え……?」
何が我慢できないのかを聞き返そうとしたら、宏の顔が近づいてきた。
そしてそのまま優しく唇を重ねられる。



