「力、抜いて」
「……っ」
いつもと違う宏の声音に、胸がドキッと高鳴る。
この感じ……昨日、青谷くんと一緒にいた時と同じだ。
青谷くんに抱きとめられて、触れられて。
隣にいた時のドキドキしたのと同じ。
おかしいな。
今まで宏に対してこんな感情、抱いたことないのに。
「美羽?」
宏が低い声でまた私の名前を囁く。
そんな宏に対してやっぱりドキドキした。
「……可愛い反応するね。
どう?今、ドキドキしてる?」
多分、宏はわかってる。
私が今、どんな感情を抱いてるかって。
「ドキドキ、してる……どうしてだろう、宏に対しても私……」
「だからそれは一時的なもの。
青谷のこと、好きじゃないんだよ。
今青谷のこと思い浮かべてみて?
昨日と同じ感情、抱く?」
宏の言う通り、昨日のことを思い出すけど、ドキドキしない。
むしろ宏に対して、その感情を抱いてる。
じゃあ私は……青谷くんのこと、好きじゃないんだ。



