「青谷くんが何?」
それしか言わないものだから、私から聞き返す。
「なんで青谷のこと、好きになったの?
理由教えて」
理由、だなんて。
宏に言えるわけがない。
「言わない……宏になんか絶対言わない」
首を横に振る。
そしたら宏の目の色が変わった。
なんというか、怖い感じ。
その様子は昨日と同じだった。
「なんで俺に言えない?
美羽と幼なじみなんだよ?」
口調こそいつも通りだったけど、言い方はきつく責めるようだ。
やっぱり怖い、今の宏は宏じゃない。
「どうして宏は知りたいの?
宏には関係ないことだよ?」
「関係ある。
教えてくれるまで、離さない」
「それじゃあ学校に遅れちゃう」
「休めばいい。絶対俺は離さない」
腰にまわす手の力を強められ、さらに逃げ出すのが困難になってしまった。



