ーーー結局、今日はいつもより準備する時間が遅れてしまった。
でも宏を起こしに行かなくていいため、時間にはまだ余裕がある。
「美羽、もう学校行く?」
私が準備を終えるまで、宏はソファに座って待っていてくれた。
時折宏の方を向けば、その度に目が合ってしまって恥ずかしかった。
「うん、行く」
「でもまだ早いよ?」
「家にいてもすることないし……」
本音をこぼした瞬間、宏の表情がふと変わった。
まるでその言葉を待っていたかの表情で。
「あるよ、すること。
ほら、美羽座って」
宏はそう言って自分の隣をポンと軽く叩く。
隣に座れってこと、だよね?
そんなの危ないに決まってる。
首を横に振れば、宏は少し不機嫌になった。



