だけど三十分という時間は本当に一瞬で。
「美羽、アラーム鳴ったよ」
いつもは気付くはずのアラーム音が今日は聞こえず、宏に起こされてまた目が覚めた。
寝る前は起き上がっていた状態だったのに、今目が覚めた時は宏と一緒に横になって布団がかけられていた。
宏はまだ私を抱きしめてくれていて、布団よりも彼の腕の中の方が暖かい。
アラームは宏が止めてくれたらしく、止める必要がなくなったからまた抱き枕のようにして彼に抱きついた。
起きたくない。
いつもならスムーズに起きられるけど、今日は違った。
この温もりから離れたくない。
ずっとこうしていたい。
「美羽、まだ寝る?」
宏が私に優しく声をかけた。
思わず頷きたくなるけどダメだ。
さっき、宏は私を甘やかすと言った。
だからここで甘えてしまえば宏の思うツボじゃないか。



